下請法から取適法へ

2026年1月1日より、「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」から「中小受託取引適正化法(取適法)」へ委託取引のルールが大きく変わりました。

新しい法律が「下請」という言葉を外したのは、上下関係ではなく「対等なパートナー」であることを強調するためとのこと。
取引のルールも明確になってきました。
「親会社が委託事業者」、「下請けが中小受託事業者」と名前が変わったからといって、すぐに上下関係が解消されるわけではありませんが、今後は「委託元」や「受託先」という呼称や、協力会社(さん)、パートナー企業(さん)、お取引先(様)、発注元(さん)、受注先(さん)という言葉になったり、「手形払等の禁止」や「値上げなどの価格の協議に応じない一方的な代金決定の禁止」などの内容が浸透いくと思われます。


○ 取適法については 下記を参照されてください。(政府広報オンラインにつながります)
  https://www.gov-online.go.jp/article/202511/entry-9983.html
  (2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります | 政府広報オンライン)


金型ロッカーを始めたきっかけは、成形現場において長年の課題となっているのが「金型無償保管問題」を少しでも解消したいと考えたからです。
金型保管の管理コストやスペースの圧迫など、成形屋さんの知恵や努力だけでは限界になっています。
そこで、営業先で伺った生の声をいくつか共有させていただきます。

ケース1:商流の途中で止まってしまった金型保管料
二次請けの成形屋さんが、ティア1さんから「金型保管料はもらっていますか?」と直接声をかけられたものの、実際には中間に立つ企業(商社)で止まっており、成形屋さんには1円も届いていなかった事例がありました。
その後、ティア1さんから商社へ連絡がいったようです。

ケース2:金型保管コストの認識の違いで泣いている成形屋さん
ある成形屋さんの生産現場内に、長期間使わないA社の金型が棚に置いてありました。
廃業する成形屋さんから受け継ぐ新たな委託事業者から新規の生産の話があり、成形機の増設をしたかったのですが、使わない金型があったため、工場近くに新たに貸倉庫を借りて、使わない金型を移動して管理する準備を進めています。
その際に、A社から提示されたのは「倉庫の坪単価分」の金額のみ。
実際には、貸倉庫の敷金、使わない金型の入庫や搬出の人件費、金型移動の運送費、クレーン設備などの購入、光熱費、貸倉庫の火災保険など、坪単価に含まれないたくさんのコストが発生しています。
この成形屋さんは「色々なコストもかかっているし、敷地全部に金型を敷き詰められる訳がないのに」と、A社との認識の差に泣いていました。

ケース3:安価な保管料で契約した成形屋さん
金型無償保管の件が大きな問題になってすぐの時に「1型100円/月」といった安価な保管料で契約を結んでしまった成形屋さん。
少し遅れた時期に他の委託事業者から話があり、同程度の大きさの金型で「2,000円/月」を受け取っている。とも言っており、その差に困惑していました。

ケース4:お互いが安心して取引している事例も増えています
生産終了後の金型廃棄・保管の指示を明確に決めて、半年以上生産しないが保管が必要なものについては適正な管理料を支払うという委託事業者である金型所有企業も多くなっており、成形屋さんの大きな安心となっています。


全ての成形工場ではありませんが、電気代や材料費などの高騰に対し、製品価格への転嫁が難しい局面が続いています。
その中でさらなる原価低減の要請や賃上げ原資の不足も影響し、若手の採用難は大手企業以上に厳しく、多くの中小零細工場がかつてない経営危機、将来への不安に直面しています。
このままでは「次世代に継がせられない」、「廃業せざるを得ない」という企業が増え、日本の製造業を支えるサプライチェーンそのものが崩壊しかねません。

しかし、このまま立ち止まっているわけにはいきません。
成形現場には、長年業界を支えてこられた年配技術者の方々の素晴らしい「技術」や「知恵」が残っています。
この技術を絶やさず、金型管理を含めた適正なコストを委託事業者が負担し、次の世代へ「誇れる仕事」として繋いでいくことが大事だと思っています。

プラスチックやものづくり業界の未来に、少しでも希望が持てる道筋を、皆様と共に模索して行きたいと考えております。