金型無償保管問題

金型無償保管問題と下請法について

金型保管の商慣行は、高度経済成長期に生まれたとされています。
高度経済成長期には仕事がたくさんあり、下請け企業側も経営が潤っていたせいか、使わない金型を返却することなくそのまま工場内に置き続ける関係が普通にありました。

しかし、1990年代以降の製造業の海外進出により、国内の下請け企業は取引量が減少し経営が厳しくなりましたが、親事業所(発注企業)から長期間の発注が無い遊休金型をそのまま保管し続ける関係は、そのまま残り続けました。

下請け企業は「金型の返却を要請することにより、仕事も無くなってしまう」ことを恐れ、自前で倉庫を借り金型を預かったり、設備を置けるスペースに遊休金型を置いたりするなど、苦しいながらも金型の保管を負担するようになりました。
現在の下請け企業の一部では、今日でも製品単価も上げることができず、金型保管の負担もあり、その結果、賃上げができなかったり、新しい設備を導入することができないことも重なっています。

一方で成形屋へ仕事を出している企業は、見て見ぬふりをすれば新たな費用負担がかからないので、この問題を知っていても新たに話題にしないようにしているようです(複数の事業者様から実態を聞いています。)

この金型無償保管問題を規制するのが、下請法(下請代金支払遅延等防止法)です。
製造業では「親事業所が資本金3億円超、下請け企業が資本金3億円以下」または、「親事業所が資本金1千万円超3億円以下、下請け企業が資本金1千万円以下」の場合の取引などが規制対象となり、親事業者が下請け企業に対し優位な立場を利用して不当な取り扱いをすることを禁じています。

公正取引委員会(公取委)は親事業者の4つの義務(書面の交付義務、書類作成・保存義務、下請代金の支払期日を定める義務、遅延利息の支払い義務)や11項目の禁止行為(受領拒否の禁止、買いたたきの禁止、報復措置の禁止、不当な経済上の利益の提供要請の禁止など)へ指導や勧告を行っていますが、このなかで、金型の無償保管問題では、第4条第2項第3号の「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」がその対象となります。
なお、親事業者の禁止行為のひとつとして、「親事業者の違反行為を公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に、その下請け事業者に対して取引数量の削減・取引停止など、不当な取り扱いをすること。(第4条第1項第7号)」を禁止しています。

公取委が2023年以降に出した勧告は23件に上ります。
金型無償保管問題の認知度が上がったので改善の兆しは感じています。
仕事柄、成形屋とお話しする機会が多いのですが、メーカーと直で取引をされている成形屋からは「メーカーから遊休金型の廃棄や保管料の支払いをします。という連絡が来た。」という話も増えてきています。
一方で、メーカーさんとの間に1社2社入る取引の場合は、旧態依然とした体質は変わっていないようです。

是非、このホームページ内の「金型の外部保管は「未来への投資」」をご覧ください。
金型を金型ロッカーなどの外部に保管することは、日本の製造業に活力を与えるきっかけになります。
日本の製造業が元気になるように、金型の外部保管を積極的に活用していってください。